【HI-KING TAKASEインタビュー】自分のペースとスタイルで新たな一歩を踏み出す『NEW タカセ』(前編)

「B-Boy Park」や「UMB」など数々のMCバトル/ライブバトルで残した実績や、映画『SRサイタマノラッパ― ロードサイドの逃亡者』への出演などが知られるHI-KING TAKASEが、RHYMESTER擁するstarplayers RECORDSから新作『NEWタカセ』をリリースした。かねてからRHYMESTERへの敬意を公言してきた彼にとって、今回のリリースはアルバム収録曲のタイトルそのままに、願ってもない「待ちわびた風」。不確かな明日にひるむことなく、自分のペースとスタイルで〈遅れてきたルーキー〉(「走って掴んだマイクで上げる」)たる新たな一歩をここに踏み出す。 


――ラッパーを志す大きなきっかけの一つがRHYMESTERの『リスペクト』だったことは事あるごとにおっしゃってますよね。 

HI-KING TAKASE:中3から高2の間スケボーだけをひたすらやってて、友達に教えてもらって日本語ラップを聴いたりしだしてカッコいいなと思ったんですけど、意味があんまり入ってこなくて。でもいろいろ聴いてる中でRHYMESTERの『リスペクト』で「これや!」ってなって。当時クラブも行ったことないのに、部屋暗くしてたぶんクラブってこんなんやろみたいなんでブラックライトつけて、レコードプレーヤー無理やりコンポにつなげてRHYMESTERの『リスペクト』をかけて今日は俺がMUMMY-Dやる、今日はDJ JINやみたいになりきってましたね(笑)。 

――まさにRHYMESTERが憧れの存在だったと。 

HI-KING TAKASE:ラップで行き詰まったら一回『リスペクト』聴くみたいな時もあったんすけど、自分もラップ活動始めてるのに好きすぎるなと思って、一時期あえて聴かへんみたいなこともありましたね。こないだ初めて宇多(丸)さんに「ちょっと1時間、2時間行こうか」って飲みにつれて行っていただいた時も、一緒に行ったWATTとインタビュー攻めで朝の5時まで飲んで。嬉しすぎて。 

――RHYMESTERのどんな部分を見て自分もラップを始めようと? また実際ラップを始めてどうでした?  

HI-KING TAKASE:(RHYMESTERは)そんなカッコつけすぎずいい意味でラッパーっぽくないというか、この感じやったら僕らもできるんちゃうかみたいな。それで大阪のクラブとかライヴハウスに遊びに行ったりし出して、韻踏合組合が当時バラバラで出てたりされてるのを見て。当時はわかんなかったんすけど、今思ったらフリースタイルやなっていう、その場に合わせたことを急に歌い出したりとかしてんのを見て、だいぶ刺激になりましたし、その頃は基本的にラッパーは全員敵やみたいな、ラップ上手い奴が一番偉いぐらいに思ってて、全然曲作らへんのに俺はラッパーみたいな感じのアホな考え方してましたね(笑)。 

――その後、ライヴやMCバトル、ライヴバトルで戦績を残す一方、HI-KING名義でアルバム「Rhyme Viking」のリリースもあって。そのアルバムを振り返ってどう思ってますか?

 HI-KING TAKASE:いまだに歌ってる曲も一曲、二曲あるんですけど、内容がとかいうよりは韻にこだわってて、そん時よくやってたってフリースタイル的な要素が強かったアルバムやなっていうのはあります。 

――今回のアルバム『NEW タカセ』はstarplayersからのリリースということで喜びも大きいと思いますが、レーベルのアーティストになるまでの経緯は? 

HI-KING TAKASE:ファーストアルバム出した次の年ぐらいにRHYMESTERがクラブツアーで奈良に初めて来る時に、地元の先輩のDJにフロントアクトのお誘いいただいて。その時に(レーベルの)社長ともお会いして、「CD聴いたよ。ライヴもよかったよ」って言うてもらって。で一週間後ぐらいにわざわざ東京から奈良の田舎の街まで来てくれはって、よかったら一枚出さへんかって話をいただいたんです。 

――じゃあ実現までに相当時間がかかったんですね。 

HI-KING TAKASE:これで行こうやって思ってもらえるようなものを僕がうまくアピールできてなかったんかなと思うし、才能だけでできるもんじゃないっていうのもすごい痛感して、一からの修行って感覚でライヴ活動とかMCバトルとかライヴバトルとか、目の前のできること一個一個攻めの姿勢で活動していく中でタイミング的に今になったんかなと思ってるんですけど。 

――制作はどのように始まったんですか?

HI-KING TAKASE:アルバム作る前に現場限定で3曲入りのEPを作らしてもらったんですけど、その3曲をこの日までに作ろうみたいなんを決めてて、作ってる曲ん中で3曲選ぶこともできたんですけど、1曲だけ間に合うか間に合わんかぐらいのとこでもう1曲新曲でやらしてくださいって言って。それが明日ぐらいまでに出来ひんだら間に合わないねって言われて、ライヴのリハと出番の間に一回家帰った2時間ぐらいで法斎Beatsが新しいトラックをくれたんですけど、気持ち的にも走ってんのか、このビートキターってテンション上がって、「走って掴んだマイクで上げる」ができて、その感じもあってアルバム走れたなって感覚がありました。

――一曲目に収録されたその「走って掴んだマイクで上げる」しかり、新たなスタートを踏み出す今の心境が様々な形で表れたアルバムになってますね。

HI-KING TAKASE:そうですね。僕がラップ始めた時に『リスペクト』聴いて肩肘張ってないけどそれがカッコいいっていう、悪いだけがヒップホップじゃないポーズの取り方、スタンスの見せ方を、自分なりに解釈せななっていうのはずーっと思ってた。熱く思ったことを熱く言う曲ももちろんあるんですけど、普段友達としゃべってる感じのしょうもないことで笑ったりとかするのを曲の要素として入れたいなあっていうのはあったんで、「ママチャリ」とか「猫」とかはそういう感覚でできました。 

(後編へ続く)

アルバム『NEW タカセ』 (発売中)

【TRACK LIST】 

M.01: 走って掴んだマイクで上げる Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by 法斎Beats 

M.02: 待ちわびた風 Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by WATT a.k.a. ヨッテルブッテル Scratch by DJ MU 

M.03: 猫 Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by 法斎Beats 

M.04: ママチャリ Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by 法斎Beats 

M.05: I Believe Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by maruhiproject 

M.06: One Mic feat. RAM HEAD Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by Cosaqu 

M.07: …けど I don't know Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by TAKU a.k.a. K-City Prince (韻シスト) 

M.08: The Memories Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by maruhiproject 

M.09: DEMO No. 1 Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by DJ JIN (RHYMESTER) 

M.10: COOK Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by WATT a.k.a. ヨッテルブッテル 

M.11: Movin' Lyrics by HI-KING TAKASE Produced by gon-zae Scratch by DJ 5-ISLAND


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