デフジャム創始者、ラッセル・シモンズに密着したミニドキュメンタリー動画

ヒップホップ文化に最も貢献した人物の1人、Russell Simmons(ラッセル・シモンズ)。Rick Rubin(リック・ルービン)とともに<Def Jam Recordings(デフ・ジャム・レコーディングス)>を設立し、RUN DMCPublic Enemy(パブリック・エネミー)、Beastie Boys(ビースティ・ボーイズ)、LL・クール・Jなど、錚々たるアーティストを世に送り出してきた彼に迫った、ショートドキュメンタリー動画『Too Old To Die Young』(意訳:とっくに歳食ってんだから、いまさら若くして死ねるか)を紹介したい。


Too Old To Die Young: Russell Simmons 

冒頭、インタビューの最中にノック音が鳴ると「おい……いったい誰が俺のくそったれドアをファッキン・ノックしてやがるんだ!?」と、さっそくシモンズ節が炸裂。何もキレているわけではなく、これが彼の普段のテンションなのである。 

「私の名前はラッセル・シモンズ。クリエイティヴと、起業家でもある。いつも隙間やスペースを探していて、世に足りないものを与えようといつも考え、思っている。私が大好きで、愛してやまないものをね」 

「クリエイティヴであり起業家であるためには、オープンな姿勢が大事なんだ。世の中に足りないものは何なのか? と常に考えていることが重要で、私の事業はずっとその姿勢でやってきた」 

そんなシモンズが世に送り出したのが<Def Jam>のアーティストたち。彼らこそヒップホップ黎明期にシーンを作った立役者であり、このレーベルは“ヒップホップといえば<Def Jam>”と言われるほどの存在となった。そしてレーベルの母体となる企業<Rush Communications>の“Rush”は、シモンズの友人がつけたニックネームで、その由来はシモンズがいつも忙しく怒涛のように駆け回っていたから(=Rush)らしい。とにかく、その当時からエネルギーに溢れていたのだ。 

「朝は毎日、ホットヨガとクライオセラピー(※)で始める」と、規則正しい貴重面な性格。 

(※数分間マイナス150度以下の超低温に体を晒すことで皮膚や筋肉、内臓の再生を促すとして米国で生まれた冷却療法。医学的効果は証明されていないため賛否両論ある) 

「クリエイティビティはいつだって“いま現在”のものだ。未来や過去にはない。いつだって“いま”なんだ。ヨガはまさに、いま現在に入るための訓練でもある」 

もうすぐ還暦というシモンズだが、あふれんばかりのエネルギーと健康への気遣いのおかげか、やはり若々しく見える。 

「“もう歳だからさ”ってジョークで言うことはあるよ。でも本当は老いることを気にしたことがない」 

「今じゃ朝に瞑想する方が、夜中の酒とパーティよりも好きになった。でも、それも両方やったことがあるから言えることさ。それが歳をとることの素晴らしさだよ。いろんな経験をして年を経ることで、知恵や懸命さが身につくんだ」 

ここで場面を移し、<HuffingtonPost>のネット番組に出演しインタビューを受けるシーンへ。政治など様々な分野について話したようだ。 

彼には起業家としてだけでなく、文化人としての顔もあり、表だって露出することも少なくない。そしてインタビュー中、「ジャッジするのではなく、アドバイスする。アーティストと一緒に考えて一緒に仕事をするというスタンスなんだ」と説明するように、あくまで謙虚でフレンドリー。落ち着いた語り口は悟りを開いた僧侶のようで、非常に印象的だ。 

「自分が何を愛しているかを分かっていて、それが他の人々も喜ばせることができる、と信じていること。そういった直観力や本能が備わっていること。それが私の才能だと思う。人々をハッピーにするためには、それくらいでも十分なんだよ」 

と自身の才能について話すシモンズ。今日のヒップホップを作った張本人であり、起業家でもある彼は、その才能の大きさを分かっていて、そのため共に仕事する相手を常に尊重してきた。映像に出てくるスタッフもリラックスしているように見えるが、“上司にしたい人ランキング”があったら間違いなく上位にランクインするのではないだろうか。 

彼の姿勢や積んできた経験は、すべてのビジネスマンや音楽業界人が見習うべきものだ。特に、レコード会社もリスナーの規模も縮小しつつある現代において、世の音楽人が彼から学べることは少なくないはずだ。 

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