あのミーゴスにもトラック提供するビート職人デュオ、Nard & Bとは?


先日ビルボードチャートで1位を獲得したMigos(ミーゴス)を輩出した米アトランタのHIPHOPシーンに欠かせないビート職人デュオが、そのミーゴスにもトラックを提供してるNard & Bだ。


ミーゴスのヒット曲「T-Shirt」でのビートを一聴すれば、地元の音楽シーンの歴史へのリスペクトと、音楽的深みを併せ持った彼らの姿勢がわかるはず。これからの米HIPHOPシーンを語る上で外せない存在になるはずなので、Nard & Bという名前は覚えておいたほうがいいだろう。 

Nard & Bの2人は00年代中頃に音響の専門学校で出会い、間もなく音楽制作を開始。その後、Nardが<Grand Hustle Records>でインターンとして働くようになるのだが、ある晩チームの誰もビートを持っていなかったため、NardはBと制作したビートを披露することになる。そのまま1曲プロデュースする話が決まり、レコード契約までも達成。これがきっかけで周囲に存在が知られていった。 

さらに数ヶ月後、人脈づてにトラックメイカーのJust Blaze(ジャスト・ブレイズ)と繋がり、Maino(メイノー)の「All The Above」を共同プロデュース。ミーゴスのヒットまではチャートで目立った動きはなかったが、トントン拍子にキャリアを積んできたようだ。 

Maino Feat T Pain - All The Above

そして2人のプロダクション会社<Trench Werk>を設立するのだが、彼らはデカいレコード会社とデカい仕事を取り付けることよりも、地元のストリートを底上げしていく活動を選ぶ。 

「とにかく、いつでも音を作れるスタジオ、活動拠点が欲しかった。それで<TrenchWerk>を設立したんだけど、そしたら一緒に仕事した連中とかから認知されていったんだ」(Nard) 

今や彼らのスタジオはシーンの中心となり、「アトランタで制作するなら<TrenchWerk>のNard & Bのとこへ行け」と言われるまでになった。2人は早々にヒットに恵まれながらも浮き足立つことなく、まず地元で土台を固めることの重要性を理解していたのである。そのため2人は飢えた若いラッパーとの仕事を望んでいたが、そこで出会ったラッパーの1人がFuture(フューチャー)だ。 

Future - Inside The Mattress

「Nardと俺はプロデュースっていう職人技と作業をとにかく楽しんでるんだ。その上、新しい若い才能と一緒にやれるってのは、俺たちにとってもベストな仕事をする最高の機会だしな」(B) 

彼らのサウンドを例えるならば“自由”。トラップミュージックと関連付けられて語られることが多いが、彼らが用いるのはおよそストリートで聴くことのできるようなサウンドとはかけ離れている。<Trench Werk>のスタジオではサウンドに縛りも制約もなければ、どんなビートを生み出すことも許されるのだ。そんな自由なマインドで、2人は日々スタジオで実験を重ねている。 

「トリッピーなサウンドとザラついたサウンド、その両方の世界を融合させるっていう考えは10年以上も前から試みてるんだけど、最近になってようやく周囲もこれに気づき始めた。ずっと“型”を壊して取っ払ってやろうと思ってたよ。誰かがどこかのアパートの一室で閉じこもって作った音楽を聴いてる、みたいな状況があるだろ? そういう縛りっていうか、型や囲いを壊したいんだ。そしたら人はジャンルなんかで音楽を聴いたりしなくなる。音楽すべてを聴けるようになるはずだ」(Nard) 

Behind The Beat with Nard & B - Break Down of Future's "Inside The Mattress"

ピュア、あるいは求道的とすら言えそうなスタンスを変えることなく、巨大なヒットを生み出した現在も、彼らはプロデュース仕事をバリバリこなしている。そして日々地元の若い才能を世に送り出し、自分たちのビートで音楽の垣根を壊し続けているのだ。ストリートを愛し育み、純粋に音楽を探求する彼らの活動スタイルは、全ミュージシャンの理想ではないだろうか。 

Nard & B x XL - "Trench Cook Up Ep. 5"

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