シェイクスピア以上? もっともボキャブラリーに富んだラッパーは誰だ

データ科学者(様々な統計を基に興味深い事実を浮き彫りにさせる)のマット・ダニエルズという人物が、「最もボキャブラリーに富んだラッパーは誰か?」という研究結果を発表した。 


キャリアによってラップした単語数に差があるため、最初の35,000ワードに限定し、その中での単語の数(種類)を統計しているとのこと。ダニエルズによれば35,000ワードという数は、デビューから3〜5枚目程度の曲数に値するため、ベテランも新人も並べて比較することができるんだとか。Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)やThe Notorious B.I.G.(ビギー)など、単語数が既定値に達していないアーティストに関しては参加したミックステープなども含めているという。 

この統計/比較で興味深いのは、歴史上最大の劇作家・シェイクスピアと、名著『白鯨』で知られるハーマン・メルヴィルを、ラッパーたちと比較している点だろう。確かに、ラッパーたちは現代における“言葉の錬金術師”とも言えるが、果たして最も豊富なボキャブラリーを持つのは誰なのか?

ちなみに、シェイクスピアは代表作7作の最初の5000ワード、メルヴィルは『白鯨』の最初の35,000ワードから統計を取っている。100,000単語を知り、生涯30,000単語を作品中に使用したと言われているシェイクスピア。これは相当な数だが、今回の統計方法では5,170単語という結果に。メルヴィルの『白鯨』は6,022だ。 

ラッパー界で堂々の1位に輝いたのは、7,329単語という驚異の数字を叩き出したアングラHIPHOPシーンの雄、Aesop Rock(エイソップ・ロック)。ご存じWu-Tang Clan(ウータン・クラン)のGZAが6,426単語で2位に着けているが、ダニエルズいわく「ウータン・クランはメンバーが多く、それぞれが言葉を持ち込んだり編み出したりすることで切磋琢磨した結果ではないか」とのこと。  


Aesop Rock - Rings

GZA - Liquid Swords

KOOL KEITH(クール・キース)を含む首位3名は6022単語のメルヴィルを上回っており、そのほかの上位ランカーにもウータン勢がズラリ並んでいるのはスゴい。また、Blackalicious(ブラッカリシャス)、Outkast(アウトキャスト)、MF DOOM(エムエフ・ドゥーム)などは5170単語のシェイクスピアを上回っており、僅かに届かない位置にNas(ナズ)やビースティ・ボーイズがいる。なお、4000台にもTwista(トゥイスタ)、Mos Def(モス・デフ)、Jay-Z(ジェイ・Z)EMINEM(エミネム)らベテラン勢が。そして3000台にはKANYE WEST(カニエ・ウェスト)、SNOOP DOGG(スヌープ・ドッグ)、50 cent(50セント)、Drake(ドレイク)が、そして最下位はアゲアゲ番長・DMXという結果に。 


Blackalicious - Deception

MF Doom - Doomsday 

文豪たちと並ぶどころか上回っている上位数名のラッパーたちは流石だが、リリシストというイメージのあるラッパーが中位〜下位に集中していたり、逆にCUNNINLYNGUISTS(カンニンリングイスツ)やXzibit(イグジビット)が上位だったりと、名前やイメージで見下しててすみません! と言いたくなる意外な結果にも驚きだ。 


DMX - Party Up (Up In Here) 

ラッパーたちは単語力、発想力、創造力、即興性を駆使して高スピードでフロウを構築していく。その際、スラングや地元の合言葉的なもの、つづり違いのもの、南部訛りなど異なるアクセントのもの、同義だが異音のもの、そしてオリジナルな造語までが投げ込まれるので、それらも計上するとこのような結果になるのだという。 

造語に関してはユニークなオノマトペなど、ラッパーそれぞれがどんどん生み出していくので、まだまだ増えると言われている。なにしろラップ文化はまだまだ新しく、今後30,000単語を操ったシェイクスピアに並ぶラッパーが出てくる可能性は十分あり得るだろう。 


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