チャンス・ザ・ラッパー対カニエ・ウェスト? グラミー賞「ラップアルバム部門」を占う

2月12日に授賞式が行われる第59回グラミー賞。スタートから21年目を迎える「ベスト・ラップ・アルバム」部門に今回ノミネートされたアルバムは、チャンス・ザ・ラッパー『Coloring Book』、スクールボーイ・Q『Blank Face LP』、ドレイク『Views』、カニエ・ウェスト『The Life of Pablo』、DJキャレド『Major Key』、デラ・ソウル『And the Anonymous Nobody』の6作。


疑いなく最有力とされているのはチャンス・ザ・ラッパー、2012年以降ミックステープの無料配信という新しい音源の配布方法で一躍時の人となり、大物アーティストととの共演やライブツアーなどで稼ぐというビジネスモデルを確立。今回ノミネートされたアルバム『Coloring Book』はストリーミングでの配信でパッケージ化されないノミネート作品という意味で関心が高い。

一方、チャンス・ザ・ラッパーの無料配信にやや隠れがちだが自身も運営に関わっている高音質音楽配信サービス「TIDAL」でアルバムをリリース、こちらもCDなどの形式にはこだわらないリリース方法を選択したカニエ・ウェスト。『The Life of Pablo』という今回の新作はリリース後に曲をブラッシュアップするという独自の制作方針や、セレブリティやトランプ現大統領までヌードで登場させた過激なミュージックビデオなどでも話題をさらった。もはや21ものグラミーの各賞を獲り、念願の主要部門が欲しくて堪らないカニエにとって「ベスト・ラップアルバム」部門への興味はいかほどだろうとは思うが、有力候補の一人であることは確かだ。

昨年のケンドリック・ラマー一色だった空気が一段落し、その周辺アーティストとしてよりクローズアップされることになったスクールボーイ・Qが引退から一転奮起し創り上げた『Blank Face LP』、豪華なキャスティングとキャラ立ちした成り上がりセレブ路線とスナップチャットを使ったプライベートを切り売りするプロモーションなどで人気を極めたDJキャレドの『Major Key』、主要部門でも話題でポップ、メインストリームよりの扱いではあるもののラップ部門にも確実に名を連ねているドレイクの『Views』、さらにはレジェンド枠、デ・ラ・ソウルの実に12年ぶりの最新作『And the Anonymous Nobody』の変わらぬオリジナリティなど、どの作品も甲乙つけがたい良作が今年は揃っている。

グラミー賞の公式でもこのノミネーションの勝者を予想。ヒップホップ系の著名論客が、DJキャレドのプロモーション力への評価、カニエのアルバムへの評価の高さ、スクールボーイQの強力なプロダクションなどを評価するなか、トークしながらヘアカットしている床屋さんアリ・アッバス氏の「チャンス・ザ・ラッパー対デラ・ソウルになるんじゃないかと思う」という予想に周りがどよめいているが、予想を裏切るグラミー受賞が過去にも多かっただけにこの意見侮れない感じがする。


主要4部門に注目が行きがちではあるが、グラミーのルールを変えた男、チャンス・ザ・ラッパーか?それとも5度目となるカニエ・ウェストが再び獲るか? 第59回グラミー賞の受賞式は2月12日(日本時間13日朝)行われる。

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