確信に満ちた音を鳴らす2人の共作。ISSUGIが語るGRADIS NICEとのタッグアルバム『DAY and NITE』

 ソロはもとよりMONJUやSICK TEAM、DOWN NORTH CAMPの活動も通じて、止まることなく曲を放ち続けるISSUGI。2016年は、オンラインTV番組と連動した月イチの7インチアナログ連続リリース企画「7INC TREE」に加え、夏に開催されたMCバトル『KING OF KINGS 2016 東日本大会』で優勝を勝ち取るなど、本来の動きとは別の部分でもともにクローズアップされている。そんな彼が、また新たなアルバムを完成させた。一昨年の『UrbanBowl Mixcity』に続き、N.Y.に拠点を移し活動中のプロデューサー・GRADIS NICEと再び手を組んだそのアルバムは、『DAY and NITE』。サンプリングに根を張る2人の共作は、ここでも確信に満ちた音を鳴らしている。 


ーーMCバトル「KING OF KINGS 2016」の東日本大会で優勝されて、反響はどうですか?

ISSUGI:会う人とかにその事言われる事が増えました。出て良かったなとはやっぱ思いましたね。それで上がってくれる人がいるから、出た甲斐があったなって。


ーー何か気持ち的に変わったようなこともなく?

ISSUGI:それで何か変わるってことはないですね。自分では。


ーー話変わって、曲を書く時のルーティンや自分なりに決めてるようなことはありますか?

ISSUGI:ビートを聴いて書くことが多いんですけど、一回聴いてからは頭の中にビートが結構入ってるんで、いつでも書けるっていうか考えれるっていう感じですね。


ーーそこで煮詰まることはないんですか?

ISSUGI:ないですね。リリック書くのに時間かかる曲とかはあるんですけど、まあそれでこの曲作れねえってことはないです。


ーーその秘訣とかあるんですか?

ISSUGI:秘訣は自分の好きなビートで曲を作る事だと思います、そしたらそのビートを良いと思ってるから最後まで出来ちゃいますね。


ーー事あるごとに、ラップについては〈ノリ〉でやってるって話もされてると思うんですけど。

ISSUGI:そうですね、自分がいう〈ノリ〉っていう言葉は、日常で使うその時々の気分という意味合いも勿論あるんですけど、音楽に〈ノリ〉がある、ない、とかで使ってる時は、その人本来の性格だったり持っている性質が音楽に出てるか、誰にも補正できない部分、されなかった部分、人の持つウネリみたいな、その人にリズムが流れてるかとか、そういう物を統合して〈ノリ〉って言葉を使ってます。


ーー言いたいことよりラップが先にあるっていうか。 

ISSUGI:(ラップが)演奏みたいな部分も入ってると思う。声とかを楽器みたいに乗せれるラップがもっと増えた方がいいとは思います。


ーーラップを書くペースはどんな感じですか?

ISSUGI:ビートはそこまで毎日作ってないし、特にラップのアルバム作ってる時とかペースは減ったりするっすけど、ラップは常に書いてますね。トラックがなくても頭の中で鳴ってるんで、それでもう書けるっていうか。


ーーじゃあラップから逆算して自分でトラック作るっていうこともあったり?

ISSUGI:でもほとんどビートがあってから書いてますね。やっぱビートに合わせて書いてるんで、ドラムとかベースとか全部の動きと位置があってじゃあラップはコレだなという感覚です。ビートメイクは、お店とかでもいい音楽がかかってたら、パーッと耳に入ってきて、作りたくなります。


ーー曲のアイディアもそんなところから?

ISSUGI:そうですね。


ーー曲を作る時にこういう曲を作りたいっていうイメージが最初にあったりします?

ISSUGI:最初にはないんですけど、イメージはビートがくれますね。それでアイデアが浮かぶというか。あとは、だから自分から出てるものに委ねるって感じだと思います。


ーー逆に言えば、だからこそ日々曲が作れるのかもしれないっすね。

ISSUGI:そうっすね。それが超普通のことなんで。GRADIS NICEとかもそうだと思うんすけど。生活の一部って感じだと思いますね。


ーーラップを書く上で影響やインスピレーションを受けるものはありますか? 

ISSUGI:自分がいいなって思うビートが一番のインスピレーションっすね。ただ、人と話してて思ったこととかを頭のどっかで覚えててっていうのはありますね。


ーー今回のアルバムにもそういうきっかけでできた曲があったり?

ISSUGI:それとはちょっと別の話かもしれないんですけど、BES君とやってる曲で『きたねえ言葉を使うぜティーチャー』って言葉があるんすけど、それはBLYYってグループのalledっていう人のリリックなんですけど、ラッパーとしても凄い好きで、そのトラック聴いてリリック書いてる時に、頭に浮かんで、ここで入れようみたいな。


ーーISSUGIさん自身はどんなラッパーが好きですか?

ISSUGI:もうヒップホップ大好きって感じが出ちゃってる奴(笑)。ヒップホップ好きな奴って出ちゃってるんすよね。そういう奴らはやっぱ好きだし、自分を見てもらいたいっていう気持ちより、自分通してヒップホップをかっこよく聴かせれる奴の方がかっこいいと思うんで。


ーー最近はラッパーでも普通に歌う人が多いじゃないですか。それはどう思ってます?

ISSUGI:いや、好きっすよ、ANDERSON .PAAKとか。歌おうがラップしようがセンスいいヤツがかっこよくて。ラップだけしててもダサいヤツはダサいと思うんで。俺はトラックも作るし、超色んな音楽を広く聴くんすけど、もちろんラップじゃなくてもいい曲あるし。(例えば)NATE DOGGを聴いてもヒップホップにしか感じないんすよね。だからあいつは歌だけどヒップホップだし。自分の中では感じるバイブスとかが重要だと思います。


ーーじゃあラップしてなくてもヒップホップはできると。

ISSUGI:実際ラップしてなくても超ヒップホップの人いると思うんすよね。例えば大阪の「212magazine」の下山さんとか。


ーーで、そういうヒップホップの中にISSUGIさんの音楽ももちろんあるわけですよね。

ISSUGI:それが出てたらいいですね。


ーーところで、そもそもGRADIS NICEさんとの交流ができて、一緒に曲を作ろうってなった時に音楽的な話もしたんですか?

ISSUGI:初めてあった頃とかは、お互いに海外の好きなプロデューサーの話とかラッパーの話とかはしたと思います。


ーー具体的にはどんな話を?

ISSUGI:GRADIS NICEとは何の話したっけな…。9TH WONDERとか(DJ)PREMIERとかの話をした気がするっすけど、まあそれもほんの一部で、超いろんな奴の話とか普通にあの曲よかったよねとかそういう話とかもしてますね。


ーー一トラックメイカーとして彼をどのように見てますか?

ISSUGI:良いトラックメイカーだと思ってるのはもちろんなんですけど、ソウルフルな部分が凄い好きだったりするし、あとドラムのスイングとか安定感も凄い好きですね。 ジャジーな面もあるし、人の体を揺さぶるグルーヴがありますね。


ーー今回の『DAY and NITE』は『UrbanBowl Mixcity』に続くGRADIS NICEさんとの共作となりますが、どんなアルバムをイメージをしましたか?

ISSUGI:時間経っても聴けるアルバムが好きなんで、今だけじゃなくて、また聴けるような感じいいなとは思ってました。


ーーアルバムの構成的には、タイトルの通り昼から夜っていう一日の動きも頭にあったんですよね。

ISSUGI:特に時間軸を朝に始まって夜に終わるAlbumとかそういう時刻的な事は考えては無かったんですけど、毎日、何かしらしつつ朝昼夜を繰り返してるので、結果いつ始まっていつ終わるとかそういう1日の時間の区切りがないアルバムにしたいなと最後の方に感じてました。タイトルもそんな感じで付けました。


ーー実際の制作はどのように進めたんですか?

ISSUGI:まずGRADIS NICEのビートをたくさん聴いて、その中から自分が好きなビートを選んでっていう感じ。アルバムの曲数を何曲にしようとかも何も決めないで作っていって、最終的なバランスがこれって感じですね。


ーーGRADIS NICEさんと互いに曲のアイディアを交わしたようなことは?

ISSUGI:今回に関しては完成したビートをあいつが送ってきてくれたんで、ビートを作ってる途中でここをこうしてほしいとかは特になかったですけど、だんだん好きなトラックを追加したりして、新しく送ってくれたビートの中から曲を入れたりして、アルバムが完成していくって感じでした。


ーー5lackさんをはじめとするなじみの面々に、BESさんも加わった客演陣との制作はどうでしたか?

ISSUGI:スムーズに進んでいったすね。BES君はGRADIS NICEのビートで曲出したことないんと思うんで、面白くなればいいなと思ってたし、実際BES君も「このビートやばいね」って言ってやってくれたんで良かったなと思ってます。他の奴らもみんな友達なんで、いつもの感じでラップしてるっすね。


ーー実際の曲作りのやりとりはどんな感じでしたか? 

ISSUGI:今回は俺がリリック書いて、こういう感じでやりたいっていうか。KID FRESINOと5lackのやつは最初に「TIME」っていうテーマで作りたいって言って、俺のバースだけ乗ってるのを2人に送って、乗せてくれってっていう感じだったんすけど、他の曲も基本的に自分からリリックとか送って、やってもらう感じでしたね。


ーー今回のアルバムでいうと例えば「Navy Nubak」は、〈ノリ〉以上の意味がある曲かなとも思うんですが。

ISSUGI:「Navy nubak」は、ティンバーのIDで自分でカラー決めてネイビーヌバックで作ったんすよ。それが嬉しくて作りました(笑)。


ーーじゃあタイトル発信でできた曲ってことになりますか。

ISSUGI:自分曲名は大体最後につけるので、最後に曲名だけ『Navy Nubak』って付けたんすよね(笑)。曲中にもNavy Nubakとは言ってないので、後付けなんですけど。出来たら出掛けてる時みたいなリリックになったし、皆移動する時は自分の足元と一緒じゃないですか? だからいいかなと思って。この曲にTimeber目線の風景が残せてたらいいっすね。


ーーともあれ、アルバムが出来上がった今どんな気持ちですか?

ISSUGI:そうですね。よし完成したって感じですね(笑)…普通ですいません(笑)。


ーーいやいや(笑)。本作を終えて、今制作に入ってるものはありますか?

ISSUGI:毎月7inchをリリースする企画"7INC TREE"をサイゾー動画を通して今年2月からやってて今月は、#11を作ってます。あとはDJミックスとかビート集とか作りつつ、またラップのアルバムも作ろうかなって感じですね。

ーー相変わらず制作は途切れることがなさそうですね。

ISSUGI:作るの超好きなんで。15〜16歳の時から。


ーー音楽始めた時には自分の中でこれだっていう感覚があったと。

ISSUGI:うまく説明できないですけど、これだなみたいな。一人でずっとやってるだけじゃなくて、それこそ色んな人に会ったり、SICK TEAMやったり、いろんな影響がいい風に自分の中で変化を作ってくれてると思うんで、だから飽きないっていうのもあるかもしれない。


ーーそういう中でもマイペースで出来てる感じが見ててします。

ISSUGI:そこの感覚は変わらないっすね、遊びみたいな感じで。曲作ることが遊びだし。逆に他の遊びを知らないというか、とりあえずこれをやりたくなっちゃうっていう(笑)。


ーーホントにそう考えるとキリがないし、飽きてるヒマもないっていう。まさに生活の一部かと。

ISSUGI:まあちょっとやりたいことがありすぎて、なかなか終われなそうですね(笑)。みんなのびっくりするような曲を作れたらいいすね。面白い人とかと。周りの友達とずーと長くやってきて、土台みたいのもできてきたんで、海外のプロデューサーと一緒にやるのもいいかなと思ってるし、色んな場所に行って知り合ったカッコいい奴らを一つのシーンとして繋げれるようなこともやりたいなとかも思ってます。 


インタビュー・テキスト: hiroyuki ichinoki

写真:後藤 秀二

『DAY and NITE』

発売中(P-VINE RECORDS/DOGEAR RECORDS)

<トラックリスト>

1. Intro Cut by DJ Scratch nice

2. Navy Nubak

3. Flowr (album version)

4. Skit(PM)

5. Time feat Kid Fresino, 5lack

6. Heat Haze feat Mr.Pug

7. How Ya Livin feat BES

8. Water Point (Remix) Cut by DJ Bress & DJ Shoe

9. Midnite Move feat. 仙人掌

10. Interlude(AM)

11. Nite Strings

12. Outro (In the evening)

All Track prod by Gradis nice

/ #3 "Flowr" prod by Gradis nice & Kid Fresino

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